シリアルモニタツールを利用する

Arduino IDE 2で、新しいシリアルモニタツールの使い方と、古いバージョンと異なる動作がどのようなものかを、学びます。


AUTHOR: Karl Söderby、LAST REVISION: 2024/02/17


Arduinoでプロジェクトを作成するときに、シリアルモニタは必須のツールです。デバッグツールや、概念のテスト、Arduinoボードとの直接通信などに使われます。

Arduino IDE 2は、エディタと統合したシリアルモニタツールを提供しています。シリアルモニタを使うときに新しいウインドウは開きません。つまり、複数開いたウインドウがそれぞれシリアルモニタを持っています。

エディタのインストール方法に関するより詳細なガイドは、Arduino IDE 2をダウンロードしインストールするを参照してください。

必要なもの

  • Arduino IDE 2.0がインストールされていること
  • Arduinoボード
  • 使用するボード用のボードパッケージがインストールされていること

注目の変更点

統合モニタ

Arduino IDE 2で導入された大きな変更の一つは、統合シリアルモニタです。古いバージョンのエディタでは、選択したボード・ポートに対応する外部ウインドウが開きました。

Arduino IDE 2では、少し違います。シリアルモニタ用の外部ウインドウが開く代わりに、コンソールログのある場所に、追加のタブとして現れます。どのように動作するかを理解するために、古いエディタがどのように動作するか見てみましょう。

古いバージョンのシリアルモニタ

古いバージョンのシリアルモニタ

次に、IDE 2を見ていきましょう。シリアルモニタが、エディタの下部にどのように現れるか注意してください。

古いバージョンのシリアルモニタ

古いバージョンのシリアルモニタ

ボーレートの調整やメッセージ送信するためのシリアルモニタ設定もここに配置しています。

利点

シリアルモニタをエディタに統合した大きな利点は、複数のモニタを同時に開くことができることです。古いエディタでは、ポート・ボードを変更したら、全てのウインドウを変更していました。さらに、一つのシリアルモニタウインドウに限定していましたが、IDE 2ではこの障壁を取り除きました。

この機能の使い方に関する追加情報も記述した例が、“複数のシリアルモニタの同時利用"セクションにあります。

シリアルモニタツールの利用

シリアルモニタツールは、デバッグとPCとArduino間の通信のための、本当に素晴らしいツールです。使い方は簡単です。しかし、最初に行わなければいけないことがいくつかあります。

  1. Arduino IDE 2を起動する
空白のArduino IDEスケッチウインドウ

空白のArduino IDEスケッチウインドウ

  1. 次に、ボードがPCと通信するために必要ないくつかの設定を含むスケッチを作成する必要があります。Serial.begin(9600);と書くことによるボーレートの設定が、主なものです。ここの9600がボーレートを表します。これは、通信できる最大ビット/秒(bps)です。利用するスケッチを以下に示します。
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void setup() {
Serial.begin(9600);
}

void loop() {
Serial.println("Hello world!");
delay(1000); 
}
  1. これは、1秒ごとに"Hello world!“とシリアルモニタに表示します。利用するボードを選択し、スケッチをボードにアップロードしましょう。
ボードを選択しスケッチをアップロードする

ボードを選択しスケッチをアップロードする

  1. アップロードが完了したら、IDEの右上にあるシリアルモニタボタンをクリックします。IDEの下部にシリアルモニタが起動し、コンソールを置き換えます。
シリアルモニタが開き、出力を閲覧する

シリアルモニタが開き、出力を閲覧する

“Hello world!“という文字列が、1秒ごとに表示されます。おめでとうございます。ArduinoからPCにメッセージを送信することに成功しました。

複数のシリアルモニタの同時利用

Arduino IDE 2での本当に素晴らしい機能は、起動したスケッチウインドウとシリアルモニタが結び付いたことです。例えば、sketch_1とsketch_2という名前の2つのスケッチウインドウがあるとき、それぞれのウインドウでポートとボードを選択し、2つのシリアルモニタを同時に起動することができます。

これは、通信・接続を行う複数のプロジェクトで作業しているときに、両方のボードで何が起こっているのか、同時に知りたいときに、本当に有用です。2つのArduinoボードがあるとき、以下の説明にしたがって、この機能を試すことができます。

  1. “ファイル > 新規スケッチ"で、新しいファイルを開きます。
新規スケッチを開く

新規スケッチを開く

  1. 次に、違うボードを選ぶ必要があります。この例では、Arduino Nano 33 IoTを使います。これをPCに接続し、必要なボードパッケージをインストールしたら、ボードリストに表示されます。
利用可能なボードリスト

利用可能なボードリスト

  1. 新しいスケッチでは、別のボードにアップロードしたものと同じスケッチを使います。ただし、“Hello world!“を何か別のものに置き換えます。ここでは、以下に示すように、“Hello Mars!“としました。
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void setup() {
Serial.begin(9600);
}

void loop() {
Serial.println("Hello Mars!");
delay(1000); 
}
  1. このコードをボードにアップロードし、シリアルモニタを開きます。“Hello Mars!“が1秒ごとに表示されるはずです。2つのスケッチウインドウを横に並べると、どのように同時に表示されるかわかります。
同時実行しているシリアルモニタ

同時実行しているシリアルモニタ

おめでとうございます。これで、2つのボードで同時に何が起こっているのかわかるようになりました。

注意: 多くのスケッチウインドウとシリアルモニタを同時に実行すると、PCがとても重くなることがあります。

他のチュートリアル

Arduino IDE 2のドキュメントページに多くのチュートリアルがあります。

オリジナルのページ

https://docs.arduino.cc/software/ide-v2/tutorials/ide-v2-serial-monitor/

最終更新日

February 17, 2024

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