リモートスケッチブックの有効化方法、スケッチの取得(プル)、編集、Arduio Cloudへの書き戻し(プッシュ)方法を学びます。
AUTHOR: Karl Söderby、LAST REVISION: 2024/02/09
2021年7月にリリースされた、新しいリモートスケッチブックの統合は、Arduino CloudスケッチブックをローカルPCに同期することを可能とする画期的な機能です。これは、複数のPCを使って作業する人や、クラウドにセキュアにスケッチを格納したい人にとっては、大きな一歩です。
このチュートリアルでは、新機能の利点を説明し、設定方法、使用方法、どのような制限があるか、この機能が最も有用なシナリオについて、説明します。
利点
- どこからでもコードを参照できます: あるPCで記述したスケッチを、1クリックで別のPCから参照することができます。同期やUSBドライブの心配をする必要はありません。Arduino IDE 2は、リモートスケッチ機能を提供し、スケッチをセキュアなArduino Cloudに保管し、他のワークステーションから容易に取得することができます。
- ブラウザでコードを記述できます: Arduino IDEがインストールされていないPCで作業するときは、Arduino Webエディタを使ってください。オンラインIDEが利用可能で、あなたの全てのスケッチに加え、全てのライブラリがそこにあります。
- コードをバックアップできます: スケッチは重要なので、失うリスクは避けなければいけません。手動でコピーするには、人生は短いです。リモートスケッチを使えば、1クリックで、セキュアなArduino Cloudにスケッチを保存できます。
- インターネット接続がなくても、オフラインで作業した後、同期できます: リモートに保存したスケッチで作業する場合でも、常にオンラインである必要はありません。ローカルコピーで作業し、オンラインになったらすぐにプッシュすれば、変更はアップロードされます。
- コードを共有し公開してください: 誰かにコードを示したい場合や、常に最新のリンクを提供したい場合は、共有設定を非公開から公開に変更すれば、公開リンクが生成されます。外部のウェブサイトに、シンタックスハイライトしたコードを埋め込みたければ、やJavaScriptウィジェットを使ってください。
セキュリティとプライバシー
セキュリティは重要事項です。Arduino Cloudは複数のセキュリティレイヤに基づいています。
- スケッチは暗号化したデータストア(AES 256bit)に保存しています。
- IDEとArduino間のデータ転送はSSL/TLSレイヤにより守られています。また、セキュアトークンにより認証されています。
- Arduinoインフラは、脆弱性やバグを特定するために、定期的に試験されています。
- 資格情報が流出し他ときに備え、アカウントを保護するために、二要素認証が利用できます。
- スケッチは、デフォルトで非公開に設定されています: 他の人と何を共有するかは、あなたが決めます。
価格
この機能は、無料で提供されます。制約なしで利用できます。Arduino Cloud planの制約が適用されます。
概要
簡単に言えば、この機能を使う手順は以下の通りです。
- Arduino CloudにArduinoのスケッチを作成します
- ローカルエディタとArduinoアカウントを認証します
- 編集したいスケッチをプルします
- 編集終了後、スケッチをクラウドにプッシュします
必要なもの
- Arduino IDE 2
- Arduinoアカウント、登録するにはここをクリック
リモートスケッチの概念を理解する
Arduinoの開発はスケッチの利用が中心です。スケッチブックに関する概念は、Arduinoを使ったことがある人には、よく知られていて、全てのプロジェクト向けのストレージ空間です。
今までは、スケッチの保存には2種類ありました。
- オフラインエディタを使い、例えばC:\User\Documentsフォルダにある、ローカルスケッチブックがあります。
- Arduino Cloudプラットフォームを使い、スケッチはPCではなく、クラウドに保存します。スケッチを編集すると、クラウドに自動保存されます。スケッチの変更管理のためのいい手段となるだけではなく、よりセキュアなオプションです。
最新のArduino IDE 2でのArduino Cloudの実装では、オンラインとオフラインアプリケーション間で、スケッチを同期させることができます。これは、短時間で完了する、迅速で容易な認証プロセスを通じて可能となります。
前置きは抜きにして、この素晴らしい機能の使い方を紹介します。
Arduinoアカウントを作成する
この統合を利用するには、Arduinoアカウントを作成する必要があります。
アカウントを作成すると、クラウドエディタに移動します。
Arduinoクラウドでスケッチを作成する
次にスケッチを作成します。そのためには、左上の"New Sketch"ボタンをクリックします。一意の名前をつけてください。ここでは、cloud_sync_sketch
としました。
簡単なプログラムを書きましょう。何を作るのかは重要ではありません。変更の記録をとることが重要です。以下の例は自由に使ってもらっても構いません。
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リモートスケッチブックを有効にする
Arduinoクラウドで、スケッチを作成した後、CloudとIDE 2の認証に進みます。続けるには、Arduino IDE 2をインストールしている必要があります。
IDE2は、ソフトウェアページからダウンロードできます。インストール作業の説明が必要であれば、インストールガイドを参照してください。
- Arduino IDE 2を起動し、左上のフォルダをクリックします。これは、あなたのスケッチブックです。
- 全てのローカルスケッチが表示されます。リストの上部で、“リモートスケッチブック"記号(地球儀に見える記号)をクリックします。(訳者註: 原文では、“Remote Sketchbook"と記載されていますが、Arduino IDE 2.3.0で確認したときは、“クラウドスケッチブック"となっていました)
- “ログイン"を押し、進みます。
- Arduinoアカウントとデスクトップアプリを認証するよう聞かれます。“Accept"をクリックします。
クリックすると、ブラウザに以下のようなイメージが現れます。
おめでとうございます。ArduinoアカウントとローカルのArduino IDE 2を同期し、スケッチが、リモートスケッチブックタブで利用できるようになっているはずです。
プル、編集、プッシュ
Arduinoクラウドに作成したスケッチを探して、機能を試してみましょう。cloud_sync_sketch
という名前を付けたことを思い出してください。スケッチのリストに表示されているはずです。スケッチは全部グレーアウトしていることに注意してください。スケッチで作業する前に、プルする必要があります。スケッチの上にマウスを持っていき、横のクラウドアイコンをクリックします。
スケッチをプルしたら、スケッチをダブルクリックすることで、編集できます。スケッチがグレーアウトしていないので、プルが完了したことは簡単にわかります。新しいウインドウが開き、編集できるようになります。
同期がうまく動作するか試すために、スケッチを編集しましょう。今回は、delay()
の値を1000
から、500
に変更し、その横にコメントを追加します。
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編集が終わったら、ファイルをArduinoクラウドにプッシュします。雲に上矢印のアイコンをクリックします。
モーダルウインドウが開き、確認が求められます。プッシュをクリックします。
これで、変更をクラウドにプッシュしました。Arduinoクラウドでのオンラインスケッチブックをリフレッシュすることで、プッシュが成功したかを確認できます。変更したことが、もうわかります。
新しいクラウドスケッチ
IDE 2.1以降では、オフラインIDEで直接新しいクラウドスケッチを作成することもできます。クラウドスケッチブックを操作しているとき、ウインドウの下部に、新しいファイルを作成するためのボタンがあります。
リモートスケッチブックを非表示にする
リ元スケッチブック機能を使いたくなければ、エディタ上で非表示にできます。“ファイル > 詳細 > クラウドスケッチブックの表示・非表示"をクリックします。もう一度表示したければ、同じ操作をしてください。
まとめ
IDE 2でのリモートスケッチブックの統合は、重要なマイルストンです。スケッチブックの操作を簡単にでき、PC間を簡単に移動し、編集できます。
次は
Arduino IDE 2チュートリアルに、様々なチュートリアルがあります。
FAQ
オフラインで作業し、後から同期できますか?
はい。ローカルコピーで作業できます。オンラインに戻り、プッシュすれば変更はアップロードされます。オフラインになる前に、リモートからスケッチをプルする必要があります。
複数のPCで同時に変更したら、どうなりますか?
この場合、最後のデバイスでのプッシュが、他のデバイスでの変更を上書きします。
オリジナルのページ
https://docs.arduino.cc/software/ide-v2/tutorials/ide-v2-cloud-sketch-sync/
最終更新日
February 12, 2024