先進機能を詰め込んだ最小のフットプリントを持ちます。
AUTHOR: Dario Pennisi、LAST REVISION: 2022/11/16 00:02
この文書はNiclaのフォームファクタの設計思想と技術仕様の解説を目的としていて、フォームファクタ対応のボードやアクセサリ(シールド・キャリア)の設計ガイドラインとして利用できます。
Niclaフォームファクタ
Niclaのフォームファクタは、ワイヤレスセンシング機能に対応したオールインワンパッケージを必要とする産業用アプリケーションや、メーカーのニーズに応えるために設計されています。最小限の消費電力で、エッジでのデータ収集と処理に重点を置いています。Niclaボードは、アプリケーション特有のセンサーと未処理データをリアルタイムで処理できる高性能マイクロコントローラを統合しており、ホストボードやメインアプリケーションに、高レベルの測定値を提供します。Niclaボードは、1.8Vから3.3Vまでのプログラム可能なI/O電圧をサポートしており、参照電圧は外部供給や内部生成することができます。
Niclaファミリーは、以下の主要な要件を満たすために設計されています。
- 低電力
- AI機能を持つ統合センシング
- 無線通信
- MKRのフォームファクタとの部分的な互換性
- 産業用温度範囲
Niclaボードは、以下の4つのユースケース向けに設計されています。
- スタンドアローン - ユーザは最終的なアプリケーションをロードできる従来のArduinoボードのように利用することができます。
- ESLOVペリフェラル - Niclaボードは、ESLOVコネクタで接続できます。ESLOVコネクタは、5ピンのコネクタで、I2Cバスと電源、GPIOを持ちます。このコネクタを通じて、ボードは、直接MKRボードと接続したり、アダプタケーブルを使って、QWIICやSTEMMA/STEMMA QT、GROVEなどの類似のインターフェイスを提供する他のボードと接続することができます。Niclaボードには、センサーを抽象化し、Niclaメインプロセッサにより処理された高レベルの測定値を読むことができる既製のファームウェアが搭載されています。
- MKR Shield - Niclaボードは、MKRボードのシールドとして適合しています。このシナリオでは、MKRがメインアプリケーションを実行し、ESLOV経由と同じようにI2C経由でNiclaと通信できます。
- 無線 - Niclaボードはバッテリ駆動でき、中央プロセッサと無線通信が可能です。他のユースケースシナリオと同様、Niclaは、センサーデータを処理し、高レベルの処理済み情報を提供します。
機器仕様
ボードの大きさと形状
Niclaのフォームファクタ形状は、ケースを通すことを想定したコネクタの突起を除いて、900mm四方の正方形です。ボードは正方形ですが、ボードを間違った方向に接続するのを防ぐために、その形とコネクタは非対称となっています。
一貫したエコシステムを作成し、全てのファミリーで利用可能なケースを作成できるようにするために、Niclaのフォームファクタは、以下の機器の位置を固定しています。
- ボード間のコネクタ
- I/Oヘッダ
- デバッグフィン
- ユーザーインターフェイス
- 押しボタン
- RGB LED
- コネクタ
- USBコネクタ
- 電源コネクタ
- ESLOVコネクタ
ヘッダ
フィン
ユーザーインターフェイス
コネクタ
電源
Niclaボードは、4つの異なる電源レールから給電することができます。
- USBコネクタ
- ESLOVコネクタ
- Vinピン
- バッテリー
USBかVin、ESLOVから給電したときは、ソフトウェアが充電可能であるようにプログラムされていれば、ボードはバッテリーに充電できます。3つの電源はダイオードを通してOR接続されているので、全ての電源は問題なく共存できます。VinはPMICに直接接続されています。一方、残りの2つはダイオードを通じて接続されています。つまり、ESLOVコネクタは外部デバイスに給電できず、主にペリフェラルとして接続されます。
Niclaボードは、特定のボードに依存したプログラム可能な充電電流を持つ、単一セルのリチウムポリマーバッテリー用のオンボードのバッテリー充電器を提供します。全てのボードは、リセットボタンが押されるまでシステムをオフの状態にし、バッテリーから流れる電流を最小化するスリープモード機能を提供します。
外部インターフェイス
ヘッダ
ヘッダI/Oピンは、I/O電圧と内部CPU電圧を分離可能な、双方向電圧レベルシフタからドライブされます。ヘッダピンは、VDDIOピンを参照し、プログラム可能な電圧を内部で生成するか、外部から供給されます。ボードは、部分的にMKRのフォームファクタと互換性のある2列のヘッダと端面スルーホールがあります。特に、NiclaボードはMKRコネクタの最初の半分に適合するように設計されています。
この接続を使うことで、シールドが不足しているピンを使わないかが炒り、Niclaを、MKRやNiclaのシールドとして利用したり、MKRシールドのコントローラとして利用できます。
ピンアウト
ピン | 名称 | MKRピン | 説明 |
---|---|---|---|
J1-8 | ADC1 | A0 | アナログピン |
J1-7 | ADC2 | A1 | アナログピン |
J1-6 | SCLK | A2 | SPIクロック |
J1-5 | CIPO | A3 | SPIコントローライン・ペリフェラルアウト(CIPO) |
J1-4 | COPI | A4 | SPIコントローラアウト・ペリフェラルイン(COPI) |
J1-3 | CS | A5 | SPIチップセレクト |
J1-2 | ADC3 | A6 | アナログピン |
J1-1 | LPIO0 | A7 | Low Power IO |
ピン | 名称 | MKRピン | 説明 |
---|---|---|---|
J2-9 | VIN | +5V | 電源入力 |
J2-8 | - | VIN | 未接続 |
J2-7 | VDDIO | +3V3 | ヘッダI/O電圧 |
J2-6 | GND | GND | GND |
J2-5 | LPIO3 | RESET | 低電力IO |
J2-4 | LPIO2 | D14/TX | 低電力IO/UART |
J2-3 | LPIO1 | D13/RX | 低電力IO/UART |
J2-2 | SCL | D12/SDA | GPIO/I2C SDA、ESLOVと共有 |
J2-1 | SDA | D11/SDA | GPIO/I2C SCL、ESLOVと共有 |
ピン | 名称 | MKRピン | 説明 |
---|---|---|---|
J3-2 | VBAT | - | バッテリープラス端子 |
J3-1 | NTC | - | オプションのバッテリー過熱防止NTCセンサー |
低電力I/O
上記の表に記載したとおり、Niclaボードにはいくつかの低電力I/Oがあります。これらのI/Oは、自動方向検出型8ビット双方向電圧レベルシフタ(詳細はTXB0108のデータシートを参照)を通じて変換され、VDDIO_EXTにより給電されます。このレベルシフタは、3.3V以下で動作する入力から1.8V(マイコンの動作電圧)までのロジックレベルを変換することができます。しかし、各入力とそれに接続されている出力は、独立かつ自動的に、どちらの方向でも信号を検出し、シフトできるので、方向ピンはありません。結果として、CMOSロジックに接続されているときにだけ、これらのピンの公称動作は保証されます。次のセクションでは、入力あるいは出力としての低電力ピンの相互作用について説明します。
低電力入力ピン
3.3V以下で動作する任意の入力デバイスを、低電力ピンに接続することができます。内蔵の電圧レベルシフタがピンに入力デバイスが接続されたことを自動検出し、3.3Vから1.8V(マイコンの動作電圧)への変換を保証し、Niclaボードと適切に接続します。
低電力出力ピン
任意の低出力デバイスは、電流を吸い込まなければ、低電力ピンに直接接続することができます。電圧レベルシフタは、出力デバイスがピンに接続されたことを自動検出し、それに応じてポートを切り替えます。出力電圧はデジタルで、その値はVDDIO_EXTがソフトウェアによりどのようにプログラムされているかに依存します。VDDIO_EXTは、1.8Vあるいは3.3Vでオン・オフできます。一方、接続された出力デバイスが電流を吸い込む必要がある場合(例: LED、負荷抵抗、ブザーなど)、必要な電流を保証するためにMOSFETやバッファを接続する必要があります。MOSFETを通じてLEDを低電力ピンに接続する方法を示す、参考回路図を以下に示します。
フィン
Niclaボードは、主にデバッグと初期プログラミングのために、ヘッダ間にフィンがついています。ヘッダをはんだ付けせずに、ヘッダピンとともにフィンが確実に接触できる1.27mm/50milの2列ヘッダに、ボードを挿入することで容易に接触するように、これらのピンは配置されています。各フィンの機能はボード固有ですが、オンボードプロセッサ用のSWDピンは、ボード間で統一するように設定されています。
ピンアウト
ピン | 名称 | 説明 |
---|---|---|
P-8 | AUX3 | 補助ピン3 |
P-7 | +1V8 | 内部1.8V供給 |
P-6 | AUX2 | 補助ピン2 |
P-5 | RESET | メインMCUリセットピン |
P-4 | SWCLK | メインMCU SW Debug Clock |
P-3 | SWDIO | Main MCU SW Debug Data |
P-2 | AUX1 | 補助ピン1 |
P-1 | AUX0 | 補助ピン0 |
バッテリー
バッテリー端子は、3ピンコネクタかヘッダ経由で利用できます。どちらの場合でも、サポートしているバッテリは、1セルのリチウムポリマーです。利用できる充電電流のオプションをボードのデータシートで確認して、推奨されている最大限度を超えてバッテリーに充電しないようにしてください。できれば、付属のNTC端子を使用して負の温度計数を持つ抵抗を接続し、バッテリー温度を検出し、バッテリー温度がプログラムされた限界に達した場合に、充電を停止できるようにしてください。
ピンアウト
ピン | 名称 | 説明 |
---|---|---|
J4-3 | GND | バッテリーのマイナス端子 |
J4-2 | NTC | オプションのバッテリー過熱防止用NTCセンサー |
J4-1 | VBAT | バッテリーのプラス端子 |
ESLOV
ESLOVは、MKRとPortentaボードで利用可能な5ピンのコネクタで、ケーブルでNiclaと接続することができます。このコネクタを通じて、ボードは、直接MKRボードと接続したり、アダプタケーブルを使って、QWIICやSTEMMA/STEMMA QT、GROVEなどの類似のインターフェイスを提供する他のボードと接続することができます。Niclaボードには、センサーを抽象化し、Niclaメインプロセッサにより処理された高レベルの測定値を読むことができる既製のファームウェアが搭載されています。
ピン | 名称 | 説明 |
---|---|---|
J5-5 | GND | GND |
J5-4 | SDA | GPIO/I2C SDA、ヘッダと共有 |
J5-3 | SCL | GPIO/I2C SCL、ヘッダと共有 |
J5-2 | INT | VDDIO電圧により参照されるGPIO |
J5-1 | VESLOV | ESLOV 電源入力 |
USB
NiclaのマイクロUSBコネクタは、ペリフェラルとしてだけ動作します。このコネクタからの電圧は、ボードに給電することができます。USBポートは、ボードのプログラムやデバッグ、カスタムアプリケーション固有インターフェイスを公開するために利用できます。
オリジナルのページ
https://docs.arduino.cc/learn/hardware/nicla-form-factor
最終更新日
November 23, 2022