Arduino Nanoハードウェアの設計

Arduino Nanoファミリー互換のカスタムハードウェアの作成方法を学びます。

!
訳者註: このページはArduinoの電源に関する内容を含んでいます。利用方法を間違えると、Arduinoを壊してしまう可能性があります。翻訳が間違っている可能性もあるので、ご自身の判断で利用してください。訳者は責任を取りません。

AUTHOR: Karl Söderby、LAST REVISION: 2022/11/16 00:02


The Nano Family

The Nano Family

Arduino Nanoファミリーは、小さいフットプリントのボードシリーズです。このガイドは、Nanoファミリーのカスタムハードウェアを設計する人に向けたものです。

この記事は、カスタム化Nanoハードウェアの設計を補助するため技術情報を提供することを目的としています。

文書

各Nanoファミリーボードには、専用ページがあります。以下を参照してください。

ドキュメントページには、全てのピンアウトやCAD、Fritzingファイルが含まれます。このページの各ボードのチュートリアルや互換ライブラリも含まれています。

技術概要

サイズ

Nanoのサイズ

Nanoのサイズ

以下のサイズは、全てのNanoボードに適用されます。

フォーマット 長さ
17.76mm
長さ 43.16mm
ピッチ 2.54mm
i
ピッチはピンの間の距離です(例えば、A1とA2の間)。この仕様はヘッダピンを選ぶ際に重要です。

さらに詳細な設計図は以下のリンクから利用可能です(.svgフォーマットです)。

機能比較

以下は、各Nanoファミリーボードの比較です。

ボード Nano Nano Every Nano 33 BLE Nano 33 BLE Sense Nano 33 IoT Nano RP2040 Connect
プロセッサ ATmega328P ATmega4809 nRF52840 nRF52840 SAMD21G18A RP2040
無線モジュール x x NINA-B306 NINA-B306 NINA-W102 NINA-W102
接続 x x Bluetooth® Bluetooth® Wi-Fi, Bluetooth® Wi-Fi, Bluetooth®
クロックスピード 16 Mhz 16 Mhz 64 Mhz 64 Mhz 48 Mhz 133 MHz
フラッシュメモリ 32 kB 48 kB 256 kB 256 kB 264 kB 16 MB
SRAM 2 kB 6 kB 1 MB 1 MB 2k6 KB 264 kB
EEPROM 1 KB 256 byte x x x x
I/O電圧 5V 5V 3.3V 3.3V 3.3V 3.3V

Nanoボードには、センサーが内蔵されているものもあります。以下を参照してください。

ボード Nano Nano Every Nano 33 BLE Nano 33 BLE Sense Nano 33 IoT Nano RP2040 Connect
慣性センサー x x LSM9DS1 LSM9DS1 LSM6DS3 LSM6DSOX
マイク x x x MP34DT05 x MP34DT05
ジェスチャー x x x APDS-9960 x x
x x x APDS-9960 x x
x x x APDS-9960 x x
気圧 x x x LPS22HB x x
温度 x x x HTS221 x x
湿度 x x x HTS221 x x

電源

電圧(3.3V/5V)

Nanoファミリーボードは、異なる電圧で動作することを理解することが重要です。無線モジュールを搭載しているボード(Nano 33 BLEとNano 33 BLE Sense、Nano 33 IoT、Nano RP2040 Connect)は3.3Vで動作します。NanoとNano Everyは、5Vで動作します。

無線モジュール搭載のボードは3.3Vロジックで動作するので、5Vピンは、はんだジャンパーでヘッダに接続されていて、デフォルトではオープンです。。USB経由で給電するときは、VINピンはボードから5Vの出力として利用することができます。これは、5Vを要求するキャリアボードに給電し、USB経由でシステムに給電するときに有用です。

VUSBパッド

5Vピンは「VUSB」とも呼ばれます。このピンの目的は、USBコネクターのVUSB(5V)をヘッダに直接接続することです。VINピンを使うと、VINからUSBへの逆流を防止するための直列接続したダイオードによる電圧低下が発生するので、これはキャリアボードのデバイスに直接給電するために使われます。VUSB/5Vピンヘッダに接続するためには、以下の図に示すように、ボードの下部にあるVUSBバッドをはんだ付けする必要があります。

VUSBパッドのはんだ付け

VUSBパッドのはんだ付け

i
VUSBパッドをはんだ付けした後、USB経由でボードに給電すると、5Vピンも利用できるようになります。ボードのICを破損する危険性があるので、細心の注意を払ってください。

VIN Min/Max

最低・最大電圧はボードごとに異なります。このことは、バッテリを選ぶ際に考慮することが重要で、ボードを破損させないために、制限値を超えないようにしてください。

Nano Nano Every Nano 33 BLE Nano 33 BLE Sense Nano 33 IoT Nano RP2040 Connect
7-12V 7-18V 5-18V 5-18V 5-18V 5-18V

バッテリ接続

Nanoボードは、バッテリ給電も可能です。しかし、バッテリ充電回路やバッテリ保護回路はついていません。

多くのリチウムポリマーバッテリは、保護回路を内蔵していますが、内蔵していないものもあります。つまり、リチウムポリマーバッテリでボードに給電するときには、過放電が起こることを意味しています。詳細は、以下のセクションを参照してください。

バッテリの過放電に関する注意

Nanoにバッテリを接続するときはVINピンを使いますが、VINの最小要件に注意する必要があります。つまり、シングルセルバッテリでは不十分です。低電圧保護がないので、完全放電した後もNanoボードに接続し続けると、保護回路のないリチウムポリマーバッテリは破損するかもしれません。このため、バッテリを直接接続することは推奨されておらず、安定した5Vの電圧を供給し、低電圧からバッテリを保護するUSBバッテリパックのような回路を使うことが推奨されています。

Nanoボードにバッテリを接続するには、VINピンを使う必要があります(既出のVINの最低値・最大値の表を参照してください)。

Nanoでのバッテリ接続

Nanoでのバッテリ接続

ピンアウト

Nanoボードは、多くのピン配置を広く共通化していて、異なるNanoボードで付属品の設計を容易にしています。

シリアルバス

Nanoファミリボードは、以下のピンにシリアルバスを接続しています。

| プロトコル | ピン | | UART | RX、TX | | SPI | COPI(11)、CIPO(12)、SCK(13) | | I²C | SDA(A4)、SCL(A5) |

これらのピンの位置は、各ボードのピンアウトに記載しています。これらは、各ボードの製品ページのリソースセクションに記載されています。

キャリアテンプレート

Nanoのキャリアテンプレートファイル

Nanoのキャリアテンプレートファイル

このセクションでは、自身でNano用アクセサリを作成する際に利用する、AltiumEagleの、多くのPCB設計プログラムで利用できるダウンロード可能なファイルがあります。

コネクタテンプレートとはんだパッドテンプレートをダウンロードすることができます。

  • コネクタテンプレート: コネクタが付いた、空のキャリアテンプレートです。Nanoボードに簡単に脱着するデザインを作成する際に有用です。
  • はんだパッドテンプレート: はんだパッドがついた、空のキャリアテンプレートです。PCB上にNanoを直接はんだ付けするデザインを作成する際に有用です。

Altium

Altium用のテンプレートです。

Eagle

Eagle用のテンプレートです。

3Dファイル

以下のファイルは、筐体やマウントなどの、3D印刷に利用できます。

PCB上に直接はんだ付けする

全てのNanoボードは、ヘッダなしでも購入することができます。ボード上の端面スルーホールを使って、カスタムPCBに直接はんだ付けすることができます。

左: Nanoボードの端面スルーホール、右: PCB上のはんだパッド

左: Nanoボードの端面スルーホール、右: PCB上のはんだパッド

i
個別包装で出荷されたArduino Nanoボードを、リフローはんだ付けしないでください。Arduinoボードは防湿包装されていないので、ボードは吸湿している可能性があり、リフローには向きません。ボードは必ず手作業ではんだ付けしてください。大量生産するためにリフローしたい場合は、Arduino PROに問い合わせてください

オリジナルのページ

https://docs.arduino.cc/learn/hardware/nano-pcb-guide

最終更新日

November 20, 2022

inserted by FC2 system