はんだ付けガイド

メーカーが持つべき基本技術である、はんだ付けの基本を学びます。


AUTHOR: José Bagur、LAST REVISION: 2022/10/05 22:00


電子回路プロジェクト作成時、特にプロトタイプ作成時には、通常ブレッドボードを使います。プロトタイプ段階完了後は、プロジェクトを安全に長持ちさせるため、ブレッドボードからプリント基板(PCB)のような専用ボードによく移行します。電子部品や構成部品のはんだ付けの方法を知る必要があるのは、このような時です。

はんだ付けは、電子部品や機械接続間で、はんだごてと呼ばれる手持ち工具を使って、はんだを溶かして、2つの電子部品や構成部品を接着する作業です。はんだは、冷却後は、電子部品間を、電気的・機械的に、頑丈で長期にわたり接合させます。

はんだ付けを習得するためには、たくさん練習する必要がありますが、よい工具も必要です。まず、はんだ付けを始めるのに必要な工具と材料について説明します。

はんだ付け用工具

はんだごてとはんだごてステーション

はんだごては、はんだ付けの工程で使う基本的な手持ち工具です。はんだごてを加熱し、電気的・機械的接続部間のはんだを溶かします。はんだが溶けると、2つの部品間の隙間やその周辺にはんだが流れ込みます。一度接合すると、そのままにして冷却し固まると、長期にわたり導電性の接合が形成されます。接合部を十分再加熱すると、液体に戻ります。再加熱し一度接合されたはんだをはがすことを、はんだ除去と言います。

Weller WP35はんだごて(出展: Weller®)

Weller WP35はんだごて(出展: Weller®)

はんだごてステーションは、外付けの温度制御ユニットを持つ、より高度で専門的なはんだごてです。はんだごての温度設定は固定されていますが、はんだごてステーションは、ある範囲での温度設定が可能です。はんだごてステーションは、熱に弱い部品向けに、高精度の温度を実現します。

HAKKO® FX-888Dはんだごてステーション(出展: HAKKO®)

HAKKO® FX-888Dはんだごてステーション(出展: HAKKO®)

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初心者向は、15Wから30Wのペン型のはんだごてから始めるのがお勧めです。

はんだ付け作業台

第三の手とも言われる、はんだ付け作業台は、はんだ付け時にはんだ付け対象の部品を固定し、両手を自由にするための補助器具です。

第三の手とも言われる、はんだ付け作業台

第三の手とも言われる、はんだ付け作業台

はんだ付け入門

はんだ付けのための基本的な器具や材料はわかったので、はんだ付けに移りましょう。始める前に、こて先をはんだメッキする必要があります。これが最初の工程です。はんだメッキは、はんだごてからはんだ付けしたい電子部品への熱伝導を向上させるための工程です。こて先を酸化から守る働きもあります。

はんだごてにこて先が正しく取り付けられていることを確認してから、電源を入れ、加熱してください。はんだごてステーションを使うときは、温度を400℃(752℉)に設定してください。はんだごてや、はんだごてステーションの温度が上がったら準備完了です。

  • こて先を濡れたスポンジや真鍮スポンジで拭きます。拭く目的は、酸化物やチリを取り除きこて先をきれいにすることです。こて先をきれいにした後は、こて先の温度が再度上がるまで少し待ちます。
  • はんだをこて先につけ、少量のはんだをこて先で溶かし、はんだが均等に流れるようにします。
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はんだ付けの始めと終わりの、はんだメッキを忘れないでください。はんだメッキは、こて先の寿命を延ばすいい方法です。

基板をはんだ付けする

基板に抵抗をはんだ付けしましょう。ここでは、作業台や万力のような締め具の使用を推奨します。基板に抵抗を取り付けます。基板の穴に抵抗を差し込みます。

基板に装着された抵抗

基板に装着された抵抗

基板を裏返し、リード線を外側に45°曲げます。

外側に45°曲げた抵抗のリード

外側に45°曲げた抵抗のリード

銅箔とリード線の一方を同時に触り、銅箔とリード線の接合部にはんだごてを3~4秒あてます。

3~4秒接合部を加熱する

3~4秒接合部を加熱する

銅箔と抵抗のリード線にはんだごてをあてながら、接合部にはんだを流し込みます。はんだをはんだごてに直接当てないでください。接合部は、はんだが溶けるのに十分な熱さです。

接合部に十分なはんだがのれば、はんだごてを外し、自然に冷まします。冷めたら、抵抗のリード線の余分な部分を切り取ります。はんだに息を吹きかけ、自然に冷まさないようにすることで、接合不良を避けることができます。この作業を、抵抗のもう一方のリード線と、回路の残りの部品にも繰り返します。

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いいはんだの接合部は、なめらかで、光っていて、火山のような形をしています。いいはんだの接合部は、接合部全体を覆うが、こぼれるほど多くありません。

電線をはんだ付けする

電気回路での作業には、電線での作業も含みます。電線へのはんだ付け方法も学びましょう。電線のはんだ付けには、作業台や単固定器具の利用を勧めます。

  1. まず、はんだ付けする電線の端の被膜を取り除きます。より線の場合は、指でより線をねじります。
  2. こて先で一方の電線の端に触れ、そのまま3~4秒はんだごてをあて、電線を熱します。
  3. 電線にはんだごてをあてている間、完全に覆うまではんだを流し込みます。この作業を電線のもう一方の端にも行います。
  4. はんだメッキした2本の銅線を重ね、はんだごてで加熱します。これで、はんだが溶け、コーティングされます。必要であれば、両方の電線が均等にはんだ付けされるように、はんだを追加してください。
  5. はんだごてを外して冷まし、自然に固めます。
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電線の間の接合部は、熱収縮チューブで覆ってください。

はんだ除去

はんだを除去したいときに何が起きるでしょうか? あるいは、修正したいときは? あるいは、基板から部品を取り除きたいときは? はんだの接合部は、再加熱して分離させることにより、簡単に除去したり変更したりできます。これを、はんだ除去と言います。接合部のはんだを除去するには、はんだ吸取り線を使います。

はんだ吸取り線之使い方は簡単です。

  1. 除去したいはんだ接合部に、はんだ吸取り線を置きます。
  2. はんだ吸取り線と接合部を、はんだごてのこて先で加熱します。はんだ吸取り線を取り除くと、はんだが吸い出され、除去されていることがわかります。
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はんだ吸取り線は厚くなるので、使うときは注意してください。

はんだが多い場合は、はんだ吸取り線が最善の選択とは限りません。この場合、はんだ吸取り器と呼ばれる器具がよい選択です。はんだ吸取り器は、通常ボタンを押すことで、熱いはんだを吸取る手持ちの機械式真空吸引装置です。

はんだ吸い取り器の使い方も簡単です。

  1. はんだ吸取り器のレバーを下げます。
  2. はんだごてのこて先で、はんだ接合部を加熱し、加熱された接合部の先端にはんだ吸取り器の先端をあてます。
  3. はんだ吸取り器のボタンを押し、はんだを吸取ります。

Arduino®プロトシールド

Arduino®ボードでの自作回路の設計は、プロトシールドを使えば簡単です。MKRプロトシールドは、MKRファミリーのボード用に設計されたプロトタイピング用のシールドです。このシールドは、付属のオスまたはメスのヘッダピンを使って、MKRボードに簡単に取り付けることができ、ボード上の各ピンのブレークアウトの複製と、多くのはんだ付け可能な標準の0.1インチ(2.54mm)のスルーホールを提供します。

Arduino® MKRプロトシールド

Arduino® MKRプロトシールド

もう一つの例は、MKR SDプロトシールドです。このシールドを使うと、MKRファミリーのボードに、簡単にマイクロSDカードを接続することができます。このシールドでは、はんだ付けする部品用のプロトタイピング用の小さい場所があります。

Arduino® MKR SDプロトシールド

Arduino® MKR SDプロトシールド

さらなる情報やチュートリアル、リソースは、MKR SDプロトシールドのドキュメントを参照してください。

オリジナルのページ

https://docs.arduino.cc/learn/electronics/soldering-basics

最終更新日

October 23, 2022

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