Arduinoパワーツリーの読み方

Arduinoパワーツリーの読み方と作り方を学びます。


AUTHOR: Ali Jahangiri、LAST REVISION: 2022/11/23 23:29


パワーツリーを提供する理由

Arduinoは、さまざまなボードやシールド、キャリアを提供しており、それぞれが特定の要件を満たすように設計されています。Arduinoの世界への標準的な入門となる有名なArduino UNOから、産業レベルの要件に応えるArduino Portenta H7にまで及びます。電源供給システムは、このように、我々の製品のエンドユーザを考慮した設計となっています。初心者から上級者までのユーザがボードの電源構造をよりよく理解するため、高レベルの理解を提供するグラフィカルなパワーツリーを開発し、関連するデータシートで提供しています。この記事では、パワーツリーの概念を探索し、代表的な例を通じて案内します。パワーツリーを改善するため、Arduinoコミュニティからのフィードバックやコメントを歓迎します。

Portenta H7のパワーツリーを概観する

パワーツリーの一つを一緒に見ていきましょう。Portenta H7は、グラフィカルなパワーツリーが作成された最初の製品の一つです。

図の左側に、3つの灰色のボックスがあります。これらはそれぞれ、入力電圧を示しています。Arduino Portenta H7では、USB-C®ケーブルか高密度コネクターのVINピン、バッテリーのいずれかから電源を供給することができます。

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正確な回路図上の位置とピンは、回路図とピン出力のグラフィックで、それぞれ確認することができます。パワーツリーは、製品をよりよく理解するための視覚的補助で、一部の中間部品は表示していない場合があります。疑問がある場合は、回路図を参照するか、我々に連絡してください。

USB-C®とVINは接続されていることもわかります。それぞれの灰色のボックスの下には、電圧が表示されていて、5Vとなっています(これは公称値です。許容される電圧の範囲はデータシートを参照してください)。一般には、各方法で動作に違いがないことが期待できます。

少し下には、VBATTと記載された別の灰色のボックスがあります。ここには、2つの特徴があります。一つは、矢印が双方向であることです。もう一つは、電圧(すぐ下の青緑色のボックス内)が低いことです。これは文字ベースの表からは理解しづらいので、モデルベースデザインのアプローチで製品を理解しようとするユーザには、この情報は有用です。

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モデルベースデザインについては、ハンズオンプロジェクト用のEngineering Kit Rev 2を参照してください。

図中の電流仕様は、特定の電源から流すことのできる電流の最大値を示します。従って、最大電流を超えない限り、どんなセンサーでもアクチュエーターでも接続することができます。デバイスは常に動作に必要な電流だけを引き込みます。しかし、電圧の場合は異なります。一般論として、電圧の値は許容誤差が少ない範囲で一致する必要があります。5Vのセンサーに3.3ピンから供給したり、その逆も不可能です。電圧は一致する必要があり、電流は一致する必要はありません(許容値より低くする必要があります)。例えば、3.3Vのセンサーから5Vのマイクロコントローラーの入力ピンにデータ線を接続する場合は、通信が片方向である場合に限り、定義されたTTLレベルによっては、動作すると言われています。5Vのマイクロコントローラーから、3.3Vの周辺機器に5Vを供給した場合は、機器が壊れる可能性があります。

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機器は広範囲の電圧で動作することもあります。利用可能な範囲を調べるには、機器のデータシートを参照してください。

次に、MC34PF1550A0EPを表しているブロックを見てみましょう。

前述したとおり、電源は5V電源かバッテリーから入力されます。電圧とこれら2つの接続(回路図上で見ることができます)は、接続線上の青緑色のボックスに書かれています。USB-C®とVINの電源入力は接続されている(2つの線の交点に黒点が記載されています)ことを思い出してください。5Vの電圧は最大電流容量2AのLDOに供給され、4.5Vのレールを生成します。LDOは、Low DropOutリニアレギュレータを意味します。これらは、リニアレギュレータの一種で、入力電圧が出力電圧よりわずかだけ高いときに動作するように設計されています。このLDOの出力は4.5Vの電圧レールです(再度青緑色のボックスで示されます)。これは5Vの入力よりもわずかに低いので、入力電圧が安定していることが重要です。4.7Vよりも低下すると、Portentaボードの安定性が損なわれる可能性があります。

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他の全てのシステム電圧は記載したLDOを通じて供給されるので、PMICを通して流れる電流は最大2Aです。後続の電圧変換で発生する損失により、ユーザが利用可能な実際の電流は少なくなります。詳細は、MC34PF1550A0EPのデータシートを参照してください。

生成された4.5Vは、DC-DCコンバータで利用可能です。アーキテクチャにより、スイッチングレギュレータは電圧レベルを昇圧・降圧させることができます。リニアレギュレータと比較したときのおもな利点は、PCB面積と電力消費量が削減できることです。しかし、ノイズの影響を受けやすくなってしまいます。

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全ての公式Arduinoボードは、高度なPCB製造と厳格な品質管理により、ノイズレベルを最小限に抑えるように設計されています。非公式のボードを購入すると、電源品質が低下し、機能が損なわれる場合があります。

図の右側には、生成された電圧を利用する部品があります。複数の電圧レベルを利用して動作する部品があるかもしれないことに注意してください。

グラフィックスタイル

お気づきのように、それぞれの要素にはそれぞれの記法があります。入力ブロックは灰色で、その下に公称電圧を示す青緑色のラベルがあります。電源レールの接続は黒点で示されます。電源ライン自身は、電圧/接続を記載した青緑色のボックスです。電源変換ブロックは灰色で、その下に、一つ以上の電源変換機構が示されます。変換形式(LDO/CHRG/DCDC)は黄色で、最大電流出力が赤で書かれます。これらの要素はすべて右寄せで書かれます。左下には凡例が示されます。

パワーツリーの要素

パワーツリーの要素

その他の情報

さまざまなICメーカーが、スイッチング電源を含む電圧変換を理解するための資料を出版しています。これらの資料は上級ユーザが、Arduinoのデータシートに含まれるパワーツリーの電圧変換をより理解するのに役立ちます。ON Semiconductor’s Switch-Mode Power Supply Reference Manualや、Power Topologies Handbook by Texas Instrumentsを参照してください。

複雑な相互作用を説明するのに、迅速・効率的に情報を提供するために、パワーツリーのような概念図を、その領域の専門家が、よく利用します。概念図がさまざまな分野でどのように利用されているのかを調べるには、以下を参照してください。

Engineering Kit Rev2は、モデルベースデザインが、複雑なシステムの開発や理解にどのように利用されているのかをより詳細に示しています。

オリジナルのページ

https://docs.arduino.cc/learn/electronics/power-tree

最終更新日

November 25, 2022

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