この記事では、Arduino®ボードの電源ピンとコネクタや、主な特徴、正しく使う方法を学びます。
AUTHOR: José Bagur, Taddy Chung, Karl Söderby、LAST REVISION: 2022/10/05 22:00
Arduinoボードに電源を供給する方法には、専用のコネクタ(USBポートやDCコネクタ、電源コネクタ)や専用のピンなど、いくつかあります。実際のアプリケーションでArduinoボードを使うときによく出る基本的な疑問は、どの電源コネクタやピンを使うべきなのかということです。この記事では、Arduinoボードの電源ピンやコネクタの主な特徴や正しい使い方を紹介します。
電源の選択肢
Arduinoボードの電源供給方法には、5種類の選択肢があります。
- USBコネクタ経由で給電する
- ボード上のDCコネクタ経由で給電する(ボードで利用できる場合)
- 電源コネクタ経由で給電する(ボードで利用できる場合)
- VIN(電源入力)ピン経由で給電する
- 3V3/5Vピン※経由で給電する
この記事ではこれらの選択肢を詳細に見ていきます。
USBコネクタ
Arduinoボードに給電するもっとも一般的で簡単な方法は、ボード上のUSBコネクタを使うことです。USBコネクタはボード上の電子機器に安定化した5Vラインを供給します。しかし、USBコネクタからの5Vは、Arduinoボード上にある5Vピンを通じて、外部機器にも給電します。
USB接続で重要なことは、USBホストデバイスの定格電流です。例えば、USBホストデバイスがPCの場合、PCのUSBポートが、PCに接続しているArduinoボードに対する5Vの供給源です。PCのUSBポートのほかに、Arduinoボードの電源として、例えば、モバイルバッテリを使うこともできます。モバイルバッテリは、通常、一つ以上のUSB出力があり、異なる定格電流の安定化した5Vラインを提供します。5Vで動作するArduinoボードは、USBの安定化した5Vラインを直接使います。3.3Vで動作するボードでは、USBコネクタからの5Vラインをボード上の電圧レギュレータで3.3Vに変換します。5Vピンから出力される定格電流は、5V電源により異なります。
DCコネクタ
外部電源を接続するためのDCコネクタをボード上に持つArduinoボードもあります。ボード上にDCコネクタを持つArduinoボードは以下の通りです。
- Arduino UNO Rev3
- Arduino UNO WiFi Rev2
- Arduino Leonardo
- Arduino Mega 2560 Rev3
- Arduino Due
- Arduino Zero
DCコネクタからの電源ラインは、ボード上の電圧レギュレータを使ってArduinoボードで安定化しています。ほとんどのArduinoボードでは、通常、まず5Vに安定化され、その後、3.3Vに安定化しています。DCコネクタに接続する外部安定化DC電源の推奨電圧と定格電流を以下の表にまとめています。
ボード | 外部電源電圧(V) | 外部電源電流(A) |
---|---|---|
Arduino UNO Rev3 | 7-12 | 1 |
Arduino UNO WiFi Rev2 | 7-12 | 1.5 |
Arduino Leonardo | 7-12 | 1 |
Arduino Mega 2560 Rev3 | 7-12 | 1 |
Arduino Due | 7-12 | 1.5 |
Arduino Zero | 5-18 | 1 |
電源コネクタ
外部電源を接続するための電源コネクタをボード上に持つArduinoボードもあり、一次電源あるいは二次電源として使われます。ボード上に電源コネクタを持つArduinoボードは以下の通りです。
- Arduino Portenta H7
- Arduino Nicla Sense ME
- Arduino Nicla Vision
- Arduino MKR NB 1500
- Arduino MKR Vidor 4000
- Arduino MKR WiFi 1010
- Arduino MKR ZERO
- Arduino MKR WAN 1310
- Arduino MKR GSM 1400
前出のボードは、ボード上にバッテリ充電回路があります。この回路は、バッテリ充電器、電圧レギュレータ、ロードスイッチといった、もっとも一般的なバッテリと電力管理機能を統合します。
VINピン
ArduinoボードのVINピンは二つの機能を持つ電源ピンです。このピンは、DCコネクタを使わずない外部の安定化電源からの電源入力として動作します。また、いくつかのArduinoボードにあるDCコネクタに外部電源が供給されたときに、電源出力として動作します。VINピンがArduinoボード上の電圧レギュレータの入力ピンに直接接続されていることに、注意が必要です。VINピンが電圧レギュレータに直接接続されているので、VINピンには逆極性保護がありません。
VINピンにかけられる最低電圧と最大電圧は、Arduinoボード上の電圧レギュレータによって決まり、ボードごとに異なります。これらの電圧を以下の表にまとめました。
ボード | VIN電圧(V) |
---|---|
UNO Mini | 5-18 |
UNO Rev3 | 7-12 |
UNO WiFi Rev2 | 7-12 |
UNO Rev3 SMD | 7-12 |
Leonardo | 7-12 |
Mega 2560 Rev3 | 7-12 |
Due | 7-12 |
Micro | 7-12 |
Zero | 5-18 |
Portenta H7 | 5 |
Nicla Sense ME | 5 |
Nano RP2040 Connect | 5-18 |
MKR NB 1500 | 5-7 |
MKR GSM 1400 | 5-7 |
MKR Vidor 4000 | 5-7 |
MKR WiFi 1010 | 5-7 |
MKR Zero | 5-5.5 |
MKR1000 WIFI | 5-5.5 |
MKR WAN 1300 | 5-5.5 |
MKR WAN 1310 | 5-7 |
Nano | 7-12 |
Nano Every | 7-18 |
Nano 33 IoT | 5-18 |
Nano 33 BLE | 5-18 |
Nano 33 BLE Sense | 5-18 |
3V3/5Vピン
3V3ピンと5Vピンも二つの機能持つ電源ピンです。これらのピンは、ボード上の3.3Vと5Vの電圧レギュレータの出力に直接接続している(ボードによります)ので、電源出力として動作します。さらに、3V3ピンと5Vピンは、他の電源入力(USBポート、DCコネクタ、VINピン)に安定化電源が接続されていないときには、電源入力として動作します。
3V3ピンと5Vピンは電源入力として使えますが、USBポートやDCコネクタ、VINピンに電源が接続されていないときの利用は推奨しません。3V3ピンと5Vピンはボード上の電圧レギュレータの出力ピンに直接接続されています。電圧レギュレータの出力ピンの電圧が、電圧レギュレータの入力電圧よりも高くなったときのことを考えてください。この場合、電圧レギュレータの出力ピンから入力ピンに大電流が流れる場合があります。この大電流はボード上の電圧レギュレータを破損させる場合があります。
電源出力として3V3ピンと5Vピンを使っているときに、引き出すことのできる最大電流を以下に示します。これらの電流は、3.3Vと5Vの電圧レギュレータから、あるいは、ボードに接続されている電源から供給されることに注意してください。
ボード | 5Vピンの出力電流(A) | 3V3ピンの出力電流(A) |
---|---|---|
UNO Mini | 1 | 0.5 |
UNO Rev3 | 1 | 0.15 |
UNO WiFi Rev2 | 1 | 0.5 |
UNO Rev3 SMD | 1 | 0.15 |
Leonardo | 1 | 0.15 |
Mega 2560 Rev3 | 0.8 | 0.05 |
Micro | 1 | 0.15 |
Zero | 1 | 0.5 |
Portenta H7 | - | 1 |
Nicla Sense ME* | - | 0.5 |
Nano RP2040 Connect | - | 1 |
MKR NB 1500 | - | 0.5 |
MKR Vidor 4000 | 1 | 0.3 |
MKR WiFi 1010 | 1 | 0.5 |
MKR Zero | - | 0.5 |
MKR1000 WIFI | - | 0.5 |
MKR WAN 1300 | - | 0.5 |
MKR WAN 1310 | - | 0.5 |
Nano | 0.8 | 0.15 |
Nano Every | 1 | 0.5 |
Nano 33 IoT | 1 | 0.5 |
Nano 33 BLE | - | 1 |
Nano 33 BLE Sense | - | 1 |
電源入力の選択
Arduinoボードの電源の選択肢についての知識を得たので、この記事の冒頭で出た、どの電源コネクタやピンを使うべきなのか、という疑問に答えることができます。特定のアプリケーションやプロジェクトに使う場合に、電源コネクタやピンを選ぶときは、利用可能な電源やアプリケーションやプロジェクトのパワーバジェットを考慮に入れる必要があります。
Arduinoボードへの給電について、それぞれの選択肢がいつ利用されることが推奨されるのか説明します。
USBコネクタ
このオプションは、5Vを要求する低負荷で実験する場合によく推奨されます。電流は、ボードを接続しているUSBホストデバイスの制約を受けます。
DCコネクタ
このオプションは、DCコネクタのある安定化電源が利用できるときに推奨されます。電流は、安定化電源とボード上の電圧レギュレータの制約を受けます。
電源コネクタ
このオプションは、ポータブルプロジェクトや、二次電源やバックアップ電源が必要んあプロジェクトのときに推奨されます。現状、3.7Vのリチウムイオンバッテリとリチウムポリマーバッテリだけがサポートされています。電流は、バッテリ容量に制約を受けます。
VIN Pin
このオプションは、DCコネクタのない安定化電源が利用できるときに推奨されます。VINピンには逆極性保護がないので、注意して使う必要があります。電流は、安定化電源とボード上の電圧レギュレータの制約を受けます。
3V3/5V Pin
このオプションは避けてください。ボード上の電圧レギュレータが破損するリスクが高いからです。3V3ピンと5Vピンに電圧レギュレータの入力電圧以下の電圧をかけるのは、安全です。
参考文献
電源についてさらに学習したい場合は、以下のリンクを参照してください。
- 電源は、もっとも一般的で最も必要な電子テスト機器の一つです。BK Precision®のこのガイドを参照してください。
- リチウムポリマー電池はどこにでもあります。リチウムポリマー電池についてもっと学びたい場合は、Roger’s Hobby Centerのこのガイドを参照してください。
オリジナルのページ
https://docs.arduino.cc/learn/electronics/power-pins
最終更新日
October 30, 2022